1. インターネット関連特許


(1) インターネット関連発明の概要

 1) インターネットとは、“コンピューター”と“コンピューター”とを連結し
 たコンピューター通信網の集合体であって、これらのコンピューターに蓄積され
 ている情報を共有することができるシステムをいいます。

 2) インターネット関連特許技術とは、コンピューター関連発明の一形態であっ
 てインターネット上で実現される発明をいい、システム構築分野又は既に構築さ
 れているシステム内で運用されるインターネット基盤運用分野に大別されます。

 システム構築分野:コンピューター周辺機器、ネットワーク方法及び装置、認証
 及び保安技術などを含み、

 インターネット基盤運用分野:電子商取引(営業・金融自動化・広告)、電子貨幣
 (電子貨幣構造・電子決済)、情報検索(データベースの構造、データの取得及び貯蔵)
 を含みます。

 3) 電子商取引発明の類型

   @) 営業:消費者が希望する商品の購入条件を仲介者(CSM)に送信した場合、仲
  介者はその購入条件を各会社に伝達し、各会社はその条件による見積りを仲介者
  に提示し、仲介者は各会社の見積りに対して消費者の希望条件に合う商品を選ん
  で消費者に連絡することをいいます。

  ※ CSM:Cyber shopping mall

  A)営業発明:事業アイデアにコンピューターシステムを結合した発明、即ちビ
  ジネスモデル、プロセスモデル、データモデルを結合したものをいいます。

  ※ ビジネスモデル(business model):経済法則及び現物市場の取引方法
  (例:競売方法、広告方法、営業方法、在庫管理、金融取引など)

  ※ プロセスモデル(process model):データの処理過程であって業務データ
  の流れ(作業工程)

  ※ データモデル(data model):業務を取扱うデータの集合

  B)金融自動化:金融機関の資産負債の管理において、金利の変動に伴う既存取
  引量の資金構造の変化をシミュレート(simulate)するシステムであります。
  C) 広告:インターネット上の広告主が、消費者が広告を見れば現金、マイリッ
  ジ、ポイント等のインセンティブを与えるシステムであります。

(2) インターネット関連発明の審査基準
  1) 発明の判断基準 インターネット関連発明(BM特許を含む)に特許を与えるか否
  かは“コンピューター関連発明の審査基準”によって判断し、 一般特許出願と同
  一な審査基準を適用します。 但し、 BM特許はその特殊性を鑑み、新しく設けた
  (2000年8月)別途の“電子商取引き関連発明の審査指針”によって判断します。
  1994年に制定され、最近1998年に改正された“コンピューター関連発明の審査基
  準”において注目すべきことは、 数学的アルゴリズムであっても具体的産業利用
  分野を提示する場合、特許の対象になり得ることと、 ソフトウエアに関してこれ
  を記録媒体として請求し特許として保護を受けることができるということであり
  ます。

 2) インターネット関連発明の判断内容(要約)

審査段階

主要判断内容

記載要件の
把握

・発明の目的・構成・作用・効果等が記載されているか。
・当該分野における通常の知識を有する者が実施できる程度に
  記載されているか。
・抽象的でないか。
・請求範囲の作成は適正か。

発明の成立性

・産業上利用が可能であるか。
・情報の単なる提示ではないか。
・自然現象に関するものではないか。
・数学的アルゴリズムだけを含むものではないか。

発明の新規性

・先行技術と同一ではないか。
  −先行技術の目的・構成・作用・効果等と比較
   (同一性の有無を判断)
  −通常の技術思想を単に附加、削除したものではないかを判断

発明の進歩性

・先行技術と比べて当業者が、それから容易に実施できる技術
  ではないか。
  −構成の相異点・一致点を把握した上、先行技術と比べて顕著
  な効果の有無を判断
  −均等物の置換え・単なる設計の変更であるかを判断

 ※ 具体的な判断基準は、特許法による「審査指針書」及び「コンピューター関連発明の審査基準等」を参照。

2. BM特許

(1) BM特許の意義
BM特許とはインターネット関連発明の一形態であり、 営業方法をコンピューターおよび通信技術によって、 インターネット上に具現したものであり、 インターネット基盤運用分野に属するものであると言えます。

BM即ち、ビジネスモデルとは財貨や用役の取引きにおいて、取引きをどのようにすべきかをあらわす事業アイデアであって、 具体的に現物市場の取引き方法や経済法則そのもの、またはこれを応用した商取引き方法などを意味します。

特許法上このようなビジネスモデルそれ自体は発明ではないですが、 このような事業アイデアがコンピューター及び通信技術と結合して具体的な技術として提示された場合は、これを特許の対象としています。

(2) 電子商取引き関連発明の審査指針

韓国特許庁が2000年8月に「電子商取引き関連発明の審査指針」を発表しましたが、これは営業方法に関連した発明であって、その営業方法がコンピューター上で行われるようにコンピューター及び通信技術によって具現され、インターネット上の電子商取引き、金融、経営管理、教育、娯楽などの分野に用いられる発明に関するものであります。
以下、電子商取引き関連発明に関する韓国特許庁の審査指針に基づいて、BM特許の要件を説明することにします。

(3)BM特許の明細書記載要領

1) 特許請求の範囲

電子商取引き関連発明の請求項記載形態は、方法の発明、物の発明および記録媒体に大別することができます。営業方法がコンピューター上で行われることができるようにする時系列的に連結された一連の処理や操作の手続きを特定した場合には、方法の発明として特許を請求することができ、営業方法がコンピューター上で行われることができるようにする処理や操作に該当する作用を行う手段を構成要素として構成要素間の関係を特定することにより、装置またはシステムを物の発明として特許を請求することができます。また、電子商取引き関連発明がソフトウエア製品として製作することができる場合には、プログラムまたはデータ構造を記録した記録媒体として特許を請求することができます。

特許請求の範囲は、出願人が特許権として保護を求める事項を記載するものであっ
て、特許法では発明の詳細な説明によって裏付けられることと、明確且つ簡潔に記載されること及び発明の構成になくてはならない事項だけで記載されることを要求していますが、これはBM特許においても同様に適用されます。

2)発明の詳細な説明
発明の詳細な説明は、当該技術分野の通常の知識を有する者が容易に実施できる程度にその目的、構成、効果などが明確に記載されなければなりません。従って、BM特許の場合にも営業方法がコンピューター上で行われることができるように、その具現技術を具体的、且つ明確に記載しなければなりません。 従って、発明の詳細な説明には発明が解決しようとする課題とその解決手段が明確でなければならず、特に解決手段として提示された営業方法が、どのようにコンピューターおよび通信技術として具現されているかを明確にしなければなりません。そうでない場合には、特許法第42条第3項により拒絶されます。


(4) BM特許の要件

1) 発明の成立性
BM特許の場合にも発明の成立性如何を判断する基準は、一般特許出願の場合の判断基準と同一であります。

先ず、BM特許が特許法第2条の自然法則を利用した技術的思想の創作であるために
は、営業方法それ自体は発明になることができず、その営業方法がコンピューター上で行われ得るようにコンピューター及び通信技術によって具現されるものでなければなりません。

従って、特許請求の範囲においても、営業方法がコンピューター及び通信技術によってどのように具現されるかをコンピューターなどを主体として記載しなければなら
ず、詳細な説明において、その具現技術を記載していても特許請求の範囲において、コンピューター及び通信技術についての言及なく営業方法そのものだけを記載しているとすれば、これは発明の成立性を備えていないとして拒絶されます。

また、BM特許は、基本的にコンピューター技術を基にしているので一般的に数学的演算を含んでいる段階などで構成されるが、この際、 何らの産業上の利用分野を限定していない場合には、単なる数学的アルゴリズムに該当して拒絶されることがありま
す。

例えば、特許請求の範囲において資産管理のための計算過程のみを記載し、その計算結果が産業上の特定目的を達成するための具体的な手段としてどのように利用されるかについて何らの限定がない場合には、単なる数学的アルゴリズムと見做されて拒絶されます。

2) 新規性

新規性の判断は、特許請求の範囲に記載された発明と先行技術および引用文献に掲載された技術の構成を対比し、実質的差異があるか否かをもって判断します。

BM特許は、営業方法上の特徴とコンピューター技術構成上の特徴とが結合されたものであって、営業方法上の特徴が同一であっても、その具現技術構成上の特徴に差異があれば新規性が認められます。しかし単なる表現上の差異に過ぎなくて、実質的には同一な構成だとか、特許請求の範囲に記載された発明は上位概念で表現され、また引用技術は下位概念で表現された場合には、新規性がないものとします。

例えば、取引き情報を顧客が見ることができるように表わす表示手段について、請求項に記載された発明を表示装置と記載し、引用技術を平板ディスプレイであると記載した場合には、新規性は認められないのであります。

3) 進歩性
特許庁が発表した進歩性判断の審査指針は次のとおりであります。BM特許が営業方法上の特徴とコンピューター技術構成上の特徴とが結合された形態である場合、営業方法が従来の経済市場で既に施行されているものであり、これをコンピューター上で行われるように具現した技術が通常の自動化技術である場合には進歩性はないということになり、その反対に従来の営業方法をコンピューター上で行われるように具現した技術が、出願時の技術水準から見て通常の自動化技術を超えたものである場合には、進歩性を否定することができないとしています。勿論、新しい営業方法が新しい具現技術によって遂行されるときには、当然、進歩性があるものと見ます。